【50歳代からの家づくり】50歳・60歳代の暮らしを支える家を買うメリット・デメリットとは 2023.6.30
実際に令和5年5月に国土交通省によって発表された「令和3年度住宅市場動向調査報告書」でも、注文住宅(新築)の世帯主で一番多い年代は41.7%で「30歳代」。続いて23.5%で「40歳代」となっています。
注文住宅(建て替え)・リフォーム住宅の世帯主の年齢では「60歳代」が一番多く、続いて「50歳代」が多い結果となっています。
引用)令和5年5月 国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001610299.pdf
注文住宅(建て替え)・リフォーム住宅の世帯主で60歳・50歳代が多いことから、50歳、60歳ごろの年代になったタイミングで、「現在から将来の自分たちの家庭に合った家にしていきたい」と考え始め、建て替え・リフォームを実行している人が多いことが考えられます。
50歳、60歳代は家族構成や身体の変化がおきやすいタイミングでもあり、今後の人生を豊かに過ごすためには、快適で安心して暮らせる住宅に興味を持ちはじめる人が増える年齢ともいえます。
とはいえ、前向きな理由だけで決められないのが家の購入です。
お金のことやどういった家にすればいいのかなど、どの年代でも不安に感じたり不明なことは多いものです。
そういった背景から、60歳からではなくなるべく早めの段階である50歳代から“今後の家づくり”について考え始めてほしいと感じています。
「50歳代だとまだ早いのでは?」と考える方や「今から家づくり間に合うの?」と考える方がいるかもしれませんが、今回は50歳代からの家づくりに解説していきます。
50歳代から家づくりを検討してほしい理由
50歳代から家づくりを検討してほしい理由があります。- 大きなライフイベントの終了
- ライフステージの変化
- 身体の変化
- 趣味趣向の変化
- 家族構成の変化
- 家で過ごす時間の変化 など
また、5〜6年すると定年退職される方も増えてくる年代なので、より住まいの役割が変化し、これまでと同じ住宅では暮らしにくくなるケースも増えてきます。
そして、現在の日本における高齢化も影響していますが、子育て期間よりも子どもが独立した後の人生の方が長くなる傾向があります。
このような現状を考えてみると、50歳代からは50歳代以降のライフスタイルに合った暮らしが送れる住宅を手に入れることが、快適さと安心を手に入れる方法のひとつになります。
これからの人生を具体的に考えれば考えるほど、過ごす時間が増える住宅を快適な空間にする必要性を感じることができるでしょう。
50歳代で家を建てるメリットとデメリット
50歳代から家づくりをする場合、次のようなメリットとデメリットがあります。メリット1.必要十分な広さの家になる
お子さんが独立した場合、住宅の中で暮らす人数や荷物の量が変化します。また、今後長期的に家族構成に大きな変化は発生しないことが予想でき、多くの場合、ご夫婦二人がメインになるでしょう。普段の生活で必要な住宅の広さが変わってくると、もしかすると今お住まいの住宅では広すぎるかもしれません。
その場合、ご夫婦二人に必要な広さを確保するよう、住宅の建て替えやリフォームをすることで必要十分で快適な住まいが手に入ります。
お子さん世代に関しては、長期休暇などで泊まりに来ることも想定しておけば問題ないでしょう。
メリット2.光熱費の負担が減る
家の建て替え・リフォームをする前に電気プランを見直したり家電を買い替えたりと、光熱費の負担を減らすためにできることはいくつかあります。しかしそれだけではなく、夫婦二人に必要な広さの家となり家の広さが減れば、使用していない部屋の待機電力の削減ができたり、空間が狭くなることで空調設備が効きやすくなったり、総合的に光熱費の負担も下がりやすいです。
また、住宅の広さが変わらないとしても、高気密・高断熱といった高性能住宅へ建て替え・リフォームをすることで、光熱費の削減が期待できるでしょう。
メリット3.身体にあった間取りにできる
子育ても落ち着き、自分たちの趣味趣向もわかってくる50歳代。趣味の嗜好に変化があったとしても、50歳代から大きなライフスタイルの変化はあまり起こらないと一般的に考えられます。また年齢と共に身体の動きも変わり、行動する量も変化します。身体や生活内容が変わってくるのであれば、身体や安定したライフスタイルに合った間取りにすることで、安心して暮らすことができます。
子どものことを考えた間取りではなく、自分たちの使い勝手を優先した間取りを考えることが、余裕を生み出す暮らしに欠かせないポイントといえるでしょう。
デメリット1.住宅ローン
50歳代からハードルが高くなるのが、住宅ローンです。住宅ローンの融資審査で重視されるのが、完済時年齢・健康状態・借入時年齢であるため、50歳代からの住宅ローンは審査が通りづらいという事実があります。
具体的な懸念点として次の3点です。
- ①借入期間について
- ②収納の減少について
- ③団信加入について
①借入期間について
住宅ローンでは、一般的に80歳までに完済できることが条件となっている住宅ローンプランが多いため、50歳代からの借入だと30歳代・20歳代と比べて借入期間が短くなりやすいです。借入期間が短いと借り入れられる金額が少額または月々の返済が高額となる可能性があるため、予算の設定には十分に注意しておきたいところです。
②収入の減少について
50歳代だと収入が安定してきたり、お子さまが独立したことで出費額が落ち着いたり、経済面で余裕が出てくる方もいらっしゃいますよね。ただ、住宅ローンという長い支払い義務が発生した場合、その期間中に定年などによって収入が減少するタイミングがあるかもしれません。
■しっかりとしたマネープランを!
50歳代からローンを返済する場合、長い返済期間は年金生活を苦しめる原因になりかねません。老後のリスクをできるだけ軽減するためには、60歳代までに返済を終わらせるマネープランを計画しておきましょう。また全額を住宅ローンで都合するのではなく、資金確保を考えながら両方を上手に活用することを検討しましょう。
③団信加入について
団信とは、団体信用生命保険の略です。被保険者(=住宅ローン債務者)が死亡または高度障害の状態といった万が一のことがあった場合、団信による保険料で住宅ローンの残高が完済となり、支払い義務がなくなるという保険です。
多くの銀行の住宅ローンでは、団信の加入が義務付けられていることが多いですが、持病や病歴によっては団信への加入が認められず、住宅ローンの審査に落ちるケースがあります。
デメリット2.所有する不動産が増える可能性も
タイミングによっては、親から実家を相続することとなり所有する不動産が自分たちの家と実家の二つになってしまうことが考えられます。相続をするとしたとき、「実家を使うのか、自分たちの家を建て替えるのか」大変悩むことになるでしょう。
また、「実家を空き家として放っておくと、管理をする必要が出てきて面倒なことが増えてしまう」と感じる方もいるでしょう。
自分の家を建て替えるなら、「実家は売却するか賃貸住宅として活用する」といった方法も同時に検討しておくことで、無駄な出費を抑えることができます。
注意!建て替えられないケースもある
現在住んでいる戸建て住宅を建て替えたい場合、土地の条件によっては建て替えることができない再建築不可物件であることも。
再建築不可物件
建築基準法の改正によって現在住宅が建っていても、建て替えができない、またはリフォームの内容に制限がかかる物件のこと。
建築基準法の改正によって現在住宅が建っていても、建て替えができない、またはリフォームの内容に制限がかかる物件のこと。
現在、再建築不可物件となる土地の理由としては主に次の3点があります。
- 土地が道路と接していない
- 土地と接している道路が建築基準法上の道路ではない
- 接している道路と土地の間口が2m未満
他にも各地方公共団体によって異なるルールが設けられており、上記3点をクリアしていても再建築不可物件となるケースがあるので注意です。
また、再建築(建て替え)が制限されるだけではなく、増築の面積が制限されるなどのリフォームにも影響が出ることもあります。
50歳代だから価値がわかる住宅ポイント
50歳代の家づくりで快適な住宅にするポイントがあります。(1)廊下
これから年齢を重ねていくことで「やっておいて良かった」と感じやすいのが、廊下を広めに作っておくことです。できれば車椅子でも通れる幅にしておくと、車椅子を利用することになった際に家のなかで快適に過ごせるようになります。
(2)浴室
浴室は、年齢が進むにつれてちょっとしたことでケガの原因になってしまうポイントがいくつかあります。そこで次の部分に注意しておきましょう。
- 滑りにくい素材を使った床にする
- 手すりの設置
- 浴室と脱衣所の温度差をなくせる設備の導入
- 二人が入れる広さの洗い場に拡充
少し広めの洗い場があると、介助が必要になっても安心です。また、浴室はどうしても滑りやすい場所なので、転倒しないための防止策を取り入れておきましょう。
さらに、普段暮らす部屋と浴室は温度差が激しくなりやすいものです。冬場の温度差はヒートショックの原因にもなりえるので、浴室暖房などの設備を整えておくと安心して暮らすことができるでしょう。
(3)トイレ
トイレも広めに作っておきたい場所です。車椅子で入って出られるくらいがベスト。同時に手すりの設置も忘れずに行っておきましょう。また、トイレはドアの部分に工夫しておきましょう。可能なら引き戸で大きく広く出入りできるようにしておくと便利に使えます。
(4)段差
玄関アプローチ、玄関、部屋の敷居など、できるだけ家のなかの段差をなくすように考えておきたいですね。小さな段差でも年齢と共に不便さを感じ、外出するのが億劫になる人もいます。そうすると、外出しないため足腰が弱くなり、だんだんと歩くことが難しくなる、というケースもあります。
いつまでも自分の足で外出するためにも、早めに段差の解消をしてストレス要因を減らしておきましょう。
15年先を見据えたバリアフリー
50歳代からの家づくりで大切なのは、「どのように今後変化していくのか」「暮らしはどのように変わるのか」といった、少し先の自分をイメージしておくこと。15年先を見据えてバリアフリー対策が重要です。いつまでも健康で若々しいことは大切ですが、誰もが年齢と共に筋力や運動能力の低下を感じるのも事実です。そうしたとき、できるだけ快適で安心して暮らせる家だからこそ、無理せず心から豊かに、そして穏やかに暮らせるのではないでしょうか。
今の健康状態や身体の状態だけで考えてしまうと、60歳代後半になったとき不便さを感じることになります。
「50歳代では早いかな?」と感じられるかもしれませんが、これから20年30年と暮らす住宅なので、先のことをイメージして対策しておくことで、いつまでも快適に安心して暮らせる空間を手に入れることができます。
50歳代から家づくりを検討される方も、少しずつ増えてきています。私たちもお客様の暮らしに寄り添ったご提案をさせていただきます。
家づくりのどんなことでもお気軽にご相談ください!
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