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【専門家が解説】注文住宅は木造と鉄骨造りのどっちがオススメ?特徴や違いについて 2023.6.15



住宅の構造には様々な種類があります。

日本住宅ツーバイが主力としているツーバイフォー工法は、木造工法のひとつです。他にも木造だけでも複数の工法があり、それは鉄骨造も同様です。

それぞれの工法にはメリットデメリットが存在するため、注文住宅でも分譲住宅でも選択した構造がどんな造りなのか、ということはしっかりと確認しておきたいポイントです。

しかし工法というのは多く存在するため、「木造と鉄骨造がそもそもどういった違い・特長があるのか」という部分を理解したうえで、木造なら木造の工法、鉄骨造なら鉄骨造の工法を検討したほうがスムーズに進むかもしれません。

木造と鉄骨造りのどちらにも得意な点、不得意な点があります。

そこで、日本住宅ツーバイが、木造と鉄骨造りのメリットやデメリットを解説しつつ、あなたの理想に近づける選び方をご紹介していきます。

木造と鉄骨の特徴を比較

まずは、木造住宅と鉄骨造り住宅の特徴についてみておきましょう。


木造住宅の特徴


木造住宅は、以前から日本にある戸建て住宅の構造です。住宅構造の主な部分に木材を使用して建築される方法で、日本の気候や風土にも合っているため古くから選ばれています。

おそらく日本は木材を沢山切り出すことができたため、材料が手に入りやすいという理由もあったのでしょう。今でも日本の戸建て住宅の半数以上が木造住宅だといわれており、実際に木造住宅を目にすることが多いです。


鉄骨造住宅の特徴


鉄骨造住宅は住宅構造の主な部分に、鉄骨を使用して建築されている住宅です。そして使用される鉄骨には、厚さの種類があり使用した厚さによって工法が変わります
  • 厚さ6mm以下の鋼板から作った鉄骨 → 軽量鉄骨造り
  • 厚さ6mm以上の鋼板から作った鉄骨 → 重量鉄骨造り
  • 軽量鉄骨造りは、一般的な戸建て住宅に使われている材料です。私たち注文住宅の会社では、軽量鉄骨造りを鉄骨造り住宅と主に呼んでいます。

    重量鉄骨造りは、マンションやビル、デパートなど大型建築物に使われている材料です。(もちろん重量鉄骨造の戸建ても多く存在しています)

    鉄骨造り住宅は、昭和の頃では大変めずらしい建物でした。他とは違う住宅ということが一目でわかるので目立っていた存在です。

    最近でも木造住宅ほど多くはありませんが、建売住宅に鉄骨造り(軽量鉄骨造り)を採用しているハウスメーカーさんもいるため、昔よりは目にすることが増えています。

    それでは、気になる木造住宅と鉄骨造り住宅のメリットとデメリットをみていきましょう。


    木造のメリット・デメリットとは

    まずは木造のメリット・デメリットについてみていきましょう。


    【メリット】断熱性能が高い

    木造住宅で使用される木材は、コンクリートや鉄と比べて断熱性能が高いといわれています。

    ただ素材が持つ性能を比べたときに高いというだけであり、木造でもすき間はできやすく、できたすき間から内と外の空気の出入りが起こり、断熱性能は低下していきます。

    断熱性能を重視するのであれば、断熱性能に優れた断熱材を検討したり、すき間をなるべく減らせるような丁寧な施工力技術をもってる工務店やハウスメーカーを選ぶこともポイントとなります。



    【メリット】調湿性・通気性が良い

    木材には湿気が多い時に湿気を吸収し、乾燥している時には水分を放出するという“調湿性”という性質があります。

    そのため梅雨の時期には湿気を吸収し、乾燥しやすい冬の時期には水分を放出してくれる効果が期待できます。


    【メリット】火災に強い

    “木は燃えやすい”というイメージを持つ方は多いですが、住宅に使用する木材のような厚みがあると、一定のところから燃えにくくなる性質があります。

    燃えた木は炭化していきますが、木造の場合は表面の炭化にとどまりやすく耐火性が強くなっています。

    日本住宅ツーバイが主力としているツーバイフォー工法でいえば、“ファイヤーストップ構造”という火の通り道を防ぐ構造となっており、耐火性が高いとされています。


    【メリット】コストが抑えやすい

    一般的に木造と軽量鉄骨造で比べたとき、材料費の関係で木造のほうがコストを抑えやすいといわれています。

    日本住宅ツーバイでは木造のみの対応ですが、鉄骨造となるとハウスメーカーさんが取り扱うことが多いこともあり、木造ほうがコストを抑えやすいと感じています。

    しかし、どの工務店さんやハウスメーカーさんでも木造のほうがコストが抑えやすい、というとそうではありません。

    木造・鉄骨造のどちらも扱うハウスメーカーさんの場合、展開するブランドによっては木造のほうがコストが高くなることもあります。

    そのため、コストに関しては木造・鉄骨造に限らず、まずは家庭にあった予算を設定。設定した予算内で収まることを前提に、理想をなるべく多く叶えられるのは木造なのか鉄鋼造なのか、を検討していく方向性がいいでしょう。


    【デメリット】白アリ対策が必要

    暖かく湿度が高い場所を好むシロアリは、床下や屋根裏などに浸入しやすいです。また木材を好むので、シロアリにとって木造住宅は絶好の住処となります。

    そのため、木造の戸建てを建設する際は、シロアリ対策が必要です。

    新築の木造戸建ての場合は、地面から1m以内のエリアには必要に応じて防蟻処理を実施することが建築基準法で定められています。

    しかし「防蟻処理というのは一度行えば安心か」といったらそうではなく、効果はどんどん薄れていくものなので定期的に行う必要があります。

    また、点検をしやすい家の造りにしたり、シロアリ対策に向いている木材を使用したりなど、新築注文住宅だからこそ実施できる対策が複数あります。

    ただどこまでの対策を行うのかについては、予算も関係してくるので、施工会社に相談をしながら決めていきましょう。


    シロアリのためだけではない!
    木造戸建てに対するシロアリ対策は、決してシロアリのためだけではありません。

    シロアリに侵食された結果、木造戸建ての主要な柱や土台が空洞になると家の強度や耐久性が落ち、地震などの災害によって倒壊しやすくなる可能性があります。そのためシロアリ対策は、家の安全度を保つためでもあります。

    また、シロアリ対策の効果をもつ断熱材を使用すれば、シロアリだけではなく外気に影響されにくい家づくりに良い影響を与えたりといったことも考えられます。

    シロアリだけではなく、家の機能や安全に関わることであることを覚えておいてください。


    【デメリット】間取りの自由度が狭まる

    木造といっても様々な工法があることは既に触れていますが、木造の工法によっては間取りの選択肢が狭まることがあります。

    コストを上げれば実現可能な間取りもありますが、どうしても叶えたい間取りのポイントがあるならば、まずはその点について先に要望を出しておくといいでしょう。


    【デメリット】施工精度は職人次第

    木造は職人の技量によって、施工精度が変わってくることがあります。

    木材は湿気によって収縮したり膨張したりする性質があるので、その差をどう対応するかを考える必要があるためです。

    木造の戸建ては、住み始めてから少しずつ変わってくるものです。

    しかし、そもそもの基盤を家を建てる職人がしっかりと組み立てることができなければ、すき間ができやすくなり断熱性能に影響が出たり、どんな価格が高い建材を使用していたとしても、建て付けが悪かったり…住み始めてから気づくこともあります。

    施工精度(技術力)が高い工務店を探すことは簡単ではありませんが、候補の工務店が建てた戸建てやモデルハウスなどに実際に足を運び、どういったこだわりをもっているのか、仕上げの丁寧さなどをチェックできます。

    他にも施工精度を測ることができる唯一の数値である“C値(気密性能)”に注目してみるのもいいでしょう。

    ただ職人の技量が影響してくるといっても、木造の工法によって影響しにくい工法があったり、当社のように一定の品質を保つためのマニュアルを整備している工務店などもあります。

    「木造だから」とあまり過敏になりすぎず、しっかりと見極めてもらえればと思います。


    鉄骨造(軽量鉄骨造り)のメリット・デメリットとは

    続いて鉄骨造のメリット・デメリットについてみていきましょう。


    【メリット】短い工期で建てられて品質安定

    鉄骨造は、あらかじめ加工された部材を建築現場に運び組み立てていくため建築現場での加工作業が少ないところが特長です。

    部材を現場に運べばあとは組み立てるだけのため、短い工期で建築することが可能となります。

    また品質をしっかり管理している会社であれば、部材自体は工場で生産されているため、品質の差が出にくく木材のように湿気の影響を受けないため、品質が安定しやすいのも特長です。


    【メリット】耐震性が高い

    鉄骨造(軽量鉄骨造り)は、木造より耐震性が高いといわれています。

    軽量鉄骨造りに使用される部材は折れにくい素材であるため、ある程度の耐震性を保つことができ、地震による倒壊リスクは低いと一般的にされています。


    【メリット】耐用年数が長い

    不動産は建ててから時間が経つにつれて価値が下がっていくとされており、その価値を判断する基準として使用されるのが耐用年数です。

    耐用年数には、物理的耐用年数・法定耐用年数・経済的耐用年数などの種類があります。
    物理的耐用年数建物自体が正常に維持できる年数のこと
    法定耐用年数不動産の価値を公平に算出するために国が制定した年数
    経済的耐用年数不動産の価値がなくなるまでの期間のこと

    ■物理的耐用年数と経済的耐用年数
    物理的耐用年数と経済的耐用年数は、耐用年数を調べたい時点での不動産の状態で価値の判断を行うもので、どのようなメンテナンスを行っているか、不動産周りがどのような環境なのかという部分も関わってきます。

    不動産ごとで価値が変わってくるので、法定耐用年数のように一概に木造住宅なら〇年という基準となる値が存在するわけではありません。

    そのため家を建てた時点というより、家を売却するといった住宅の価値がどのくらいなのかを知りたい場面があったときに、注目することになるものでしょう。

    ■法定耐用年数
    法定耐用年数は、国によって制定された固定資産税として使用できる値(年数)です。

    木造住宅ならば22年。鉄骨造なら使用されている骨格材の厚みによって変わり、4㎜以上なら34年3㎜~4㎜なら27年3㎜以下なら19年です。
    木造住宅22年
    鉄骨造住宅・4㎜以上:34年 ・3㎜~4㎜:27年 ・3㎜以下:19年
    ※鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造ならば47年です。

    引用)国税庁「耐用年数(建物/建物附属設備)」
    https://www.keisan.nta.go.jp/r4yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html

    軽量鉄骨造は木造より耐用年数が長いことがメリットとして挙げられることが多いですが、使用されている骨格材の厚みが3㎜以上ならば実際に耐用年数が長いことになります。

    ただ、骨格材の厚さはハウスメーカーによるところが大きく、使用されている骨格材の厚みが3㎜以下ならば法定耐用年数は19年となり、木造より短くなるので注意が必要です。


    【デメリット】防錆(ぼうせい)対策が必要

    鉄骨造の戸建て住宅に住むなら絶対知っておきたい防錆対策。

    「鉄が錆びる」というのはイメージしやすいかと思いますが、鋼材が錆びてしまうのは水と酸素が原因なため、対策を何もしなければ戸建て住宅でも同じように錆びてしまいます。

    鋼材が錆びないようにするためには、防錆(ぼうせい)処理が必要です。防錆処理の内容は、ハウスメーカーなどによって変わってきますが、メッキや塗装によって処理されます。

    防錆処理は一般的に最初から鋼材に施されているものなので、そこまで神経質になる必要性はありません。

    しかし、防錆処理は一度行えば安全ということではなく、時間が経つにつれて防錆処理の効果は薄れていきます。そのため、定期的なメンテナンスが必要となってくる点は覚えておきましょう。

    【デメリット】夏は暑く冬は寒くなりやすい

    鉄骨造の住宅を検討している方なら、「夏は暑く冬は寒くなりやすい」という話を耳にしたことはあるのではないでしょうか。

    一般的に鉄骨造(軽量鉄骨造)と木造を比較すると、鉄骨造のほうが断熱性能が劣るといわれています。

    ただ鉄骨造の暑さ・寒さ対策に打つ手がないのかと言われれば決してそうではなく、木造と同じく断熱材が重要になってきます。

    また、住宅のどの部分に断熱材を施すのか、というのもポイントです。

    ■外断熱と内断熱
    断熱材の施工方法には、外断熱と内断熱に分けられます。

    木造なら構造材を基準に、鉄骨造なら補強材やコンクリート材を基準に、“内”に断熱材が入っているのか、“外”に断熱材が入っているのか、という断熱材がどの部分に施工されるのかの違いになります。

    ・外断熱工法
    外断熱のイメージ

    外断熱工法は、木造なら構造材、鉄骨造なら補強材やコンクリート材の外側に断熱材を、断熱材の外に外壁材を施す工法です。

    住宅を包み込むように断熱材を設置するため気密性も高く、内断熱よりも外側で外気からの熱の影響を防ぎやすくなるので断熱性を高められるメリットもあります。

    ただ、外断熱を優先させるとなるとデザインに制限がかかったり、外側に断熱材の厚さ分壁が厚くなるので間取りや土地によっては外断熱が不向きとなるケースもあります。

    またコストもかさみやすいため、様々な状況をみて判断する必要があります。

    ・内断熱工法
    内断熱のイメージ

    内断熱工法は、木造なら構造材、鉄骨造なら補強材やコンクリート材の内側に断熱材を施し、内壁材で蓋をするようなイメージの工法です。

    外壁に厚さが出ることがないためデザインなどに制限が出ることがなく、外断熱よりもコストを抑えやすいメリットがあります。

    外断熱、内断熱は地域の特性や土地、住宅のデザイン、予算など様々な要素を考慮して、工務店と相談しながら決めていくのがベターとなります。


    【デメリット】耐火性が高くない

    “鉄が燃える”というイメージはないですが、鉄は“熱に弱い”という性質をもっています。

    熱せられ一定の温度まで上がった鉄は強度が落ち、曲がってしまうこともあり、火災が起きた際はこの熱への弱さが住宅の倒壊へとつながる可能性があります。


    【デメリット】間取りが変更しにくい

    軽量鉄骨造のなかには、筋交いという補強材が壁中で対角線のように張られる工法があります。

    この工法で建てられている場合、間取りを変更するために壁を取り除こうとしても、補強材である筋交いが残ってしまうため間取りが変更しにくいデメリットがあります。

    また、ハウスメーカーさんによって工法が異なるケースもあるため、リフォームなどで間取りを変更したいとき、依頼先が限定的になる可能性が高い工法もあることを考慮しておく必要があります。


    防音性能について

    暮らしのなかで気になる(気にする)のが、音の問題です。静かに暮らしたい方や近隣に迷惑を掛けたくない方にとっては、防音性能は大変気になる部分ですよね。

    木造と鉄骨造りでは、鉄骨造り住宅のほうが高い防音性能が期待できます。

    ただここで注意が必要なのは、鉄骨造り住宅でもコンクリートを使っていない場合は、木造住宅とさほど違いが出てこないということです。そのため正確には鉄筋コンクリート造り住宅を選ぶことで、生活音をほぼ遮断してくれます。

    例えば、趣味のギターや映画鑑賞などで防音性能が必要なら、利用する部屋だけを防音室にすることで対処できるので、木造住宅であっても大きな問題になりません。


    どちらを選ぶのかは、まずは理想を明確に

    木造住宅と鉄骨造り住宅には違いがあります。違いからメリット・デメリットになることがあります。

    まずはあなたの理想明確にすることから始めてみてください。

    例えば、「大開口・大空間で開放感のあるリビングが欲しい」ことが注文住宅で一番叶えたい理想になるのであれば、まず候補として考えられるのが鉄骨造になります。

    ただ、SE構法と呼ばれる木造工法でも大開口・大空間を実現しやすいといわれているため、コスト面で鉄骨造が厳しければ、SE構法(木造)でコスト面を検討してみる、といった流れでもいいでしょう。

    他にも、何よりも予算(コスト)重視ならまずは木造住宅を検討するのがオススメで、高い防音性能が暮らしを重視するなら、鉄筋コンクリート造り住宅が理想的でしょう。




    選べない場合は日本住宅ツーバイに相談を!

    現在の建築技術や材料品質は、非常に高くなっています。木造住宅と鉄骨造り住宅で特徴やメリット・デメリットはありつつも、大きな違いはありません。

    今回お話しましたそれぞれのメリットになること、デメリットになることが、あなたの理想の暮らしにマッチするほうを選んでみてください。

    なかなか選べない場合は、日本住宅ツーバイまでご相談いただくことも可能です。あなたのお話をじっくりとお聞きし、最適なプランをご提案させていただきます!